FATUM3
ふわり、初めて体験する浮遊感とスピード感に体がついていかない。
すさまじいめまいに気を失い、気付いたときにはそこはいわゆる地獄だった。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・ねぇ」
「ん?なに?」
自分を抱きしめたままのレクスを引き離しつつ、周りを見渡すとそこにはいたって普通の
民家の立ち並ぶ町だった。
子供が母親にお菓子をねだり、恋人らしき男女が仲良く道を歩いている。
「ここが地獄?私が見たのは・・・・・・・」
今まで、死んで黄泉の国で転生を待ち、過ごす間にいた黄泉の国は牢獄だった。
最もテイアにとって、神の監視のない黄泉の国は安息の地ともいえたが・・・・
しかし、ここは?
「ああ、あそこは天国、母上の担当は地獄行きの魂だけだからね、」
はい?
「ああ、そっか、テイアって母上にあったことないんだ。」
「ちょっ、母上って誰よ!!」
まぁまぁ、と宥められ、腕を取られて向かった先には白亜に輝く神殿
しっかり地獄に対して持っていたイメージが崩れ落ちたテイア
そのまま抱きかかえられるようにしてレクスに神殿内へと、連れ込まれても呆然としたまま、さすがにステラマリスのところ
では、その美貌に驚きを隠せ無い様だったが、
「ようこそ、巫女姫テイア私が黄泉の国の主、人の言う闇の」「破壊神、もとい、地獄の悪鬼」
神です。と言おうとした母の言葉を絶妙のタイミングでレクスが遮る。
「こ・・・・・この馬鹿息子!!」
今日も平和に剣戟が地獄にこだました。
何も進展しないまま、テイアの新しい生活が始まった。
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