SNOWNIGHT STORY   作:李乃


 
窓ガラスに何かがあたる、コツンという小さな音が聞こえて、イズは顔を上げた。

 その音の正体を確かめるために、窓の外を見下ろそうとしても、ガラスの向こうは真っ暗で

 ただ自分の顔が映るだけだ。

 そこで鍵を外し静かに窓を開く。

 途端に待っていたかのように、冷えきった風が部屋に吹き込む。

 寒さに震えながら身体をのりだして下を見ると、茶色のコートに身を包んでこちらを見上げる

 ロンと眼が合った。

 『イ ズ、 は や く!』

 声には出さず、ゆっくりと口の形を変えて言葉を伝える。

 イズはとなりに置いてあったトランクをロンにも見えるように持ち上げた。

 『い く よ』

 やはり口の動きでそう伝え、手を窓の外へと突き出しトランクを離す。

 2階の窓から落とされたトランクは、両手を広げたロンのもとへキレイに着地をきめた。

 その代償として、ロンは積もった雪の上に、見事なしりもちをつく事になったのだけれど。

 イズはその様子を見て少し笑いながら、窓から側の枝へと身を移す。

 枝から幹まで辿り着けば、あとは簡単だ。

 一気に地面まで下りて、コートについた雪を払っているロンの前に立った。

 「お前荷物多すぎ。」

 呆れ顔でロンはトランクを渡す。

 「だって大事なものが沢山あるから。」

 そう言って、すっかり冷たくなったロンの手を握る。

 「ほら、早く行こう?」

 真っ白に染まった息と共にロンの名を呼び、2人で夜の街を歩き出す。

 その夜は、街灯の淡い光と、華やかなクリスマスツリーの輝きに彩られた

 ちょうど、物語の始まりにはおあつらえ向きの夜だった
――――

                                           The End?



 *  *  *  *  *  *  *  *  *  *  *  *  *  *  *  *  *  *  *  *  
 『季節』というコトで冬・クリスマスの話です。過ぎたばっかりなのがイタイですが・・・(汗)。
 
この話はファンタジー小説を目指して書いていたもののプロローグ?の部分です。
 結構好きな話なのでいつか続きが書きたいものです。









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