希望
同じ時に生まれし赤子、
一人は母の体を切り裂いて、
血溜まりの中産声をあげ、
一人は母の亡骸から生れ落ちた。
一人は母を食い散らし、
修羅の道をただ進む、
一人は声をあげる力もなく、ただ・・・・・
淡い夢を瞳に宿す。
やがてその子は、母と同じく、先に生まれた赤子に食われた。
身動きもできず、ただ、死に逝く赤子の
守り手、すでに亡く、
夢を残したその瞳は、ゆっくりと閉じられた。
一人になった赤子、
血に汚れ、血を浴びて生きてきた赤子、
しかし、その子を最も愛したのは・・・・・
取り上げた人間たちではなく・・・・・・
命を賭して誕生させた母と・・・
その子によって殺されたもう一人の赤子で、
彼に托せし生の中、希望という名で
残り続ける。
国です。
本来なら、坂本竜馬が望んだとおり、
戦という血だまりのなかで生まれることはなかった
新しい時代、
母は幕府、
死んでしまった赤子は蝦夷共和国です。
赤子の守り手は開陽丸、
凄まじい犠牲の中、始まった新時代、
司馬先生の翔ぶが如くを読んでいて思いつきました。
いや、あの明治の矛盾と悲劇、そして希望は
やはり、前の時代の中からも生まれてたよなぁ・・とか・・・・
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